瞳はダイヤモンド【作:名無しヲタモダチ】



「愛してたって言われちゃった……。」

泣き声でなのに笑いながら電話してきた彼女。

「いつ過去形になったかも分からないなんてバカだよね、私。」

今ドコにいるの?今すぐそこに行くから、待ってて。
携帯と財布だけポケットに押し込み、上着を掴んで飛び出した。



      




「梨華ちゃん!」


幾千粒の雨の矢たちを見上げながら涙を隠している彼女は、
梨華ちゃんはとても綺麗で……、一瞬息が出来なかったよ。


「よっすぃ〜。」


あたしを見つけてホッとしたように微笑んだように見えたのは、
そう見えたのは自惚れじゃないよね?





梨華ちゃんの部屋に付くまでふたりは声を響かせなかったけど、
あたしは彼女と繋いだ右手で、指で、そのぬくもりで、絶えず話しかけていた。
そして梨華ちゃんはそれをギュッと握り返してくれた。


梨華ちゃんの部屋でいつも彼女がしてくれるように紅茶をいれた。
彼女はそれをひと口飲んで、まだ暖まりきれない周りの空気たちの中に
ゆっくり息を吐き出した。


「追いかけてきてさえ……くれなかった…の。」


 ――――途切れ途切れに話す梨華ちゃんの瞳から
              瞳からダイヤモンドがこぼれ落ちた。


「哀しい噂だって信じなかった、あの人に限ってそんなことないもんって、
 笑い飛ばしたのに……。」

梨華ちゃんが哀しそうに笑う姿が容易に想像できた。
ごめんね、気付いてあげられなくて。

「でもね、あの人の瞳を見たら分かっちゃったの、もうダメだって。」

梨華ちゃんの青空を黒い雨雲が覆うのを黙って見てることしか出来ない、
自分がたまらなく悔しくて、泣きたくなった。

「想い出にしなきゃ…いけないんだよね……。」

傷つけられてもなお、素敵な日々だったと想えるように顔をあげようとする、


梨華ちゃんの瞳は―――――
              ―――――瞳はダイヤモンド。





「大丈夫?」

そんな気の利かないあたしの問いに、

「大丈夫だよ、私、強いもん………、
   でも、今日は、今日だけは泣いてもいい? 
                ………傍にいてくれる?」


「泣いてもいいよ。」


泣いてもいいよ、だけど、だけど泣かないで、ずっと傍にいるからさ。


「よっすぃ〜がいてくれてよかった。よっすぃ〜がいてくれるから……。」


梨華ちゃんを傷つけるものすべてのものから、すべてのことから守りたいよ。


だから一番近くで、だけど少し離れたところで、見守っているよ。




時の流れが傷つけても、
それを輝きにかえることが出来る彼女の心はダイヤモンドだから。




あたしは知ってるよ、そう彼女自身が、
      
       ――――梨華ちゃんがダイヤモンドそのものだから。

end


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