Misty【作:空理】



   霧の中をさ迷うみたいに、
   アタシはいつでもあなたをさがしてる。

   手を伸ばせばとどく距離なのに、あなたの声がそこに聞こえるのに、
   あなたの姿だけ見えないよ…



卒業してもいつでも逢えるって言ってくれたけど、
アタシたちの仕事は不規則で休みだってバラバラで…

久し振りに逢えて嬉しいはずなのに、
元気のないよしこを見てるとアタシまでつらいよ。




   あの娘と何かあった?

   あの娘とは幸せじゃないの?




アタシに出来ることなんか何もないって知ってるけど…
けど、でもよしこのために何かしてあげたいよ。


ホントはわかってる、わかってるよ。
よしこを悩ませてるの…アタシのせいでもあるってこと。

アタシだけを見つめてほしいけどそれはワガママだってこと。

今は、こうして逢えるだけでいいよ。
目を閉じて寄り添えるだけで・・・・いいの。

だから…




   今だけはギュっと抱きしめてね。
   遠い波音みたいに愛してるって囁き続けてよ、
   あの月が嫉妬するくらいに。

   今夜だけはみんな忘れて眠ってね。
   あなたのためだけに歌うから、ずっとずっと髪を撫でてあげるから。

   さざ波に揺れる小舟みたいに、よしこが安らげる場所になりたいよ。

   離れたくない……あの娘の元に帰したくない。
   傷つくのは怖くないよ……愛してるから。




「ゴメンね…ごっちん」

謝ったりしないでよ、今だけはアタシが全部。
今だけはあの娘のコト忘れてよ、謝るコトなんてなにもないって顔でいて。

「『ゴメン』じゃなくて『アイシテル』だよ…?」

よしこを笑顔にしたい…よしこの笑顔が欲しいよ。

「うん、ゴメ…」

苦しそうな顔を消したくてキスをひとつ。

時間を無駄にしたくないから、またひとつ。

よしこの中をアタシで一杯にしたくて…また…ひとつ。




  朝には霧が晴れてしまう。
  澄んだ景色にあなたの姿を見つけられても…それはいつもうしろ姿。

  けれど二人の秘密を隠してくれるこの霧が晴れるまでは、
  アタシはあなたの「たった一人」

  あなたはアタシだけの…こいびと




end


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